2022.10.14
すみれだより
すみれだより10月号巻頭言
<身体を動かして遊ぶ>
子どもたちの遊びを見ていると、実によく身体を動かしています。ある日園庭に出ると、あらゆる場所で身体を動かして遊んでいる場面に出会いました。私の前を速いスピードで走りぬけた子は、鬼ごっこの最中で鬼に捕まらないように逃げているところでした。逃げる方も全速力ですが、鬼も逃げる子に合わせて方向転換しながら全速力で走っていました。別の場所では、先生がスルスルっと2本の白い線を地面に描くとその間を何度も走りぬけたり、缶ぽっくり(パカポコ)を履いて列になって歩く遊びを楽しんだりしていました。
ジャングルジムに目を向けると一番高いところまで登って園庭の景色を眺めている数人の子どもたちがいましたし、その横のブランコでは空に跳んでいきそうな勢いでグングンとこいでいました。大縄跳びに挑戦したり、「よーいどん」の掛け声で競争をしたり、砂場の穴にせっせと水を運んでいたりしている様子を見ていると、みんな生き生きとした表情で身体を動かすことを心から楽しんでいる様子でした。
子どもたちはトレーニングや指導された運動をしているのではなく、楽しくて夢中になる遊びの中で身体を動かしています。園庭には固定遊具やボールや縄跳びなどが環境として用意されていて、子どもたちが「やってみたい」と感じた時にすぐに遊べるようになっています。また、先生たちはこの時期にはこんな身体の動きを経験してほしい、と鬼あそびやボール遊びなどを取り入れ、子どもたちが楽しんで遊ぶうちに自然に身体を動かす経験ができるようにしているのです。
この運動遊びによって、走る・跳ぶ・投げる等の運動能力だけでなく判断力、ルールを守ること、創造すること、知力など様々なことが身についていきます。それ以外にも、身のこなしが上手になることで危険を回避する身体的な能力が身についたり、身体をコントロールしたりバランスをとったりする能力も身につくと言われています。また、気持ちを発散したり、達成感を得たり、友だちと楽しさを共有するなどによって心も育っていきます。身体を動かして遊ぶことによって育つことがとても多くあります。
身体を動かすことが心地よい季節になってまいりました。日常の遊びの中で子どもたちが積極的に身体を動かす経験が多くできるような保育を工夫してまいりたいと思います。
すみれだより 令和4年10月号 園長 福永典子