2022.12.20

すみれだより

すみれだより12月号巻頭言

  <表現するということ>

ある日、砂場で型抜きをしている場面に出会いました。私が見たところきれいに抜けたように見えましたが、その子は角の一部が欠けているのを見つけてグシャっとつぶしてしまいました。すぐにまた砂を手の平でギュッと押し込んで満足のいく形になるまで何度も繰り返していました。何度目かに欠けた部分がなく滑らかな表面になったのを確認すると満足気に眺めてその場を離れました。園庭を歩き回って落ち葉や枝を拾うとその上に配置を考えながら飾るように乗せ、美しいケーキのような作品になっていました。
室内では空き箱を切ったり、つないだりしながら工作を楽しんでいる子どもたちがいました。作りたい物のイメージがあるようで、大きさを確認しながら箱を切ったり貼り付けたりしています。材料が足りないとわかると、紙を探してきてテープで止めたり箱同士をつないだりしていました。イメージ通りに出来上がると嬉しそうに持ち歩いて近くの先生に見せていました。
子どもたちは日常の様々な場面で何かを作ったり描いたりして表現をします。子どもが何かを「あらわす」のには4つの手段があると言われています。「身体」「言葉」「音」「モノ」です。砂も空き箱も「モノ」の一つです。身近にある紙や画材、素材、自然物などの「モノ」を使って思い思いに表現しています。それは感じたこと、心が動いたことをその子なりのやり方であらわしているのだと思います。
今月「アート展」を開催し子どもたちの表現の一端を観ていただく機会を作りました。テーマや課題という枠の中で表現したものであっても、一人ひとりが感じたままにそれぞれ違う表現をしています。出来上がったものは一つひとつが素晴らしい作品です。心が動き、その心のままの表現として受け止めていただくとそれぞれの個性が見えてきます。描いたり、作ったりする子どもたちの姿を思い浮かべながらお楽しみいただけましたら幸いです。

                 すみれだより 令和4年12月号  園長 福永典子

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