2023.06.14

すみれだより

すみれだより巻頭言6月

<絵本のこと>

子どもたちは先生から絵本や紙芝居を読んでもらう時間が大好きです。また、おやつや食事の後に自分の好きな絵本を読んで、ゆったりとした時間をすごしています。先日保育室に行ってみると、絵本の絵を見ながらお話を作って自分の言葉で語って楽しんでいる場面に出会いました。子どもたちは絵本やお話の世界を自分の経験と結びつけながら、想像したり表現したりすることを楽しんでいます。現実に自分の生活している世界から飛び出して、未知の世界に出会ったり、想像上の世界を旅したりすることもできます。字が読めなくても絵を見て絵本の世界に入り込むこんで楽しんでいるのですね。

ご家庭でも寝る前に本を読んだり、地域の図書館や本屋さんで読み聞かせの会に参加したりすることがあると思います。脳研究者の細田千尋さんによると、乳幼児期に絵本をたっぷり読むことは視覚や聴覚など脳の発達のベースとなる部分に刺激を与えることになり、自分で本を読めるようになっても読み聞かせをすることがとても大事だそうです。そして情操教育や知育目的で読むのではなく、お話の世界に没頭したり、コミュニケーションをとったりしながら読むことが発達にはとても大切とのことです。読み聞かせの途中に挟まれる「不思議だね」「これってこういうことだよね」などの言葉によって「他者の視点」を獲得し、他者の視点に立って物事を理解する力にもつながるのだそうです。子どものために「どんな本がいいのかしら」「どんなふうに読めばいいのかしら」と悩むかもしれませんが、まずは気負わず好きな絵本や物語を大人も一緒にも楽しんでみてください。

すみれ幼稚園では今年度の教育の重点として、絵本やお話の世界に親しめるようにすることを掲げています。子どもたちの豊かな心や創造性を育むために、絵本やお話の世界に触れる機会を増やしていきたいと思います。またすみれ幼稚園の周辺には絵本を扱っている素敵なお店がたくさんあり、とても恵まれた環境だと思います。映像やゲームの世界も楽しいかもしれませんが、是非この幼児期に多くの絵本やお話に出会ってほしいと願っています。 すみれ幼稚園 園長 福永典子

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